はじめに

振り子とグリップシリーズの6回目になります。

今回は、「右手のインパクトエリアのアクション」についてお話します。

 

「インパクトエリアで急激にクラブを返すとインパクトエリアでフェース向きが安定しないため良くない」とか「今のクラブは、昔のクラブと違ってフェースを返す必要がない」という話をよく聞きます。それを言葉通りに受け止め、フェースを返さないようにインパクトしようと練習している方を多く見かけます。

 

しかし、原理原則の観点から言うと、これまでお話したベアリング（手首を柔らかく手を中心にクラブを回転させる）に対し、それを相殺する動き（体の回転など）により、インパクトエリアでフェースが返っていないだけで、インパクト後に返ってゆきます。

 

このことを理解した上で、インパクトでフェースを返さない練習しているのであればよいのですが、多くの方が間違ったイメージで練習していると思いますので、インパクトエリアのアクション（ベアリング）について、お話したいと思います。

 

 

ベアリング状態とは

ベアリング状態のイメージが、非常に分かりやすい動画ですので、こちらをご覧ください。

フレループというスイング練習器具を逆さにもって、ぶらーん・ぶらーんとクラブを揺らしていますが、この黄色の球の部分がベアリング状態（柔らかく手を中心にクラブを回転）のイメージになります。

 

 

 

右手片手素振り

次に、復習になりますが、振り子運動、つまりベアリング状態を発生させた右手片手素振りを確認ください。体を正面に向けて右手で振り子運動を行うと右肩の真下くらいで最下点を迎えて、クラブは、クリンとひっくり返ります。この時、右手の手のひらは、上を向いていたものが下を向く動きが入って、クリンとひっくり返ります。

これは、テニスで言うと「ワイパーアクション」、卓球でいうと「ドライブをかける」動きに近く、手の平が上を向いていたものを下に向けて行き、そのことにより下方向に力をかけることができます。

 

＜右手一本の片手素振りは最下点が右肩下になる＋ワイパーアクション＞

 

 

両手で振り子素振り

両手で振り子素振りをやると、ベアリング状態を維持し続けようと、体の中心（正中線）辺りで、右手と左手が入れ替わるようにしてローテーションが入り、クラブがクリンとひっくり返ります。

動画では、分かりやすく地面と平行素振りをしていますが、通常の前傾姿勢で構えて両手で振り子素振りをした場合、両手の場合は最下点が正中線になります。

 

＜両手素振りは最下点が正中線になる＞

 

 

ベアリングは良くない動きなのか？

このベアリングの動きをしているとフェースが返り過ぎる、または球が左にひっかかってしまうように思いませんか。ここからが重要な話になります。

 

 

フェースが返る動きに対し、それを相殺する動き①体を回転させる、②右肩が下がって右肘がたたまれる動きが入ることで、クラブを閉じ過ぎないようにクラブを開く要素となり、結果、ベアリングの動きと相殺されてフェースは、基本的にスクエアを保つようになります。

 

＜相殺動作＞

 

最下点がズレるということ

正面を向いたままの右手片手スイングでは右肩の真下辺りにあった最下点が、両手で持ち体の回転を伴うと、左足方向（左耳下辺り）にズレてゆきます。

この最下点がズレることで、ハンドファーストインパクトになり、インパクト後にフェースが返ることがスイングの基本（原理原則）です。これが出来るように私も練習しています。

 

ここは高野コーチの音声で確認ください。

 

これが、今回お伝えしたかった「フェースを返さないでインパクトするという本当の意味」です。

なお、「振り子運動ができた場合、フェースが返るところが円弧の最下点」ということを覚えておきましょう。

 

振り子スイングの全体像

正対した状態では振り子運動の最下点が右足前だったものが、体の回転と共に、どんどんズレて行きハンドファーストでインパクトし、その後、急激にクラブヘッドが返り背中側に巻き付いてくる動きになる。

 

ここは高野コーチの音声で確認ください。

 

振り子スイングの全体像を理解しないまま、ただフェースローテーションをしないよう意識してインパクト練習している場合には、上達が遅くなってしまいますので、ご注意ください。

 

 

まとめ

フェースを返さないでインパクトするという本当の意味は、(a)ベアリング状態をキープしつつ、フェースが返る動きを相殺する動き、(b)体を回転させる、(c)右肩が下がって右肘がたたまれる動きを入れることで、フェースが返る前にインパクトを迎えている状態ということになります。

 

 

次回予告

次回は、「切り返しで溜めができない３つの原因」について、お話します。