最近主流となった非接触体温計や非接触温度計を使った時に、低く出る、高く出るといった経験は無いですか？

手軽に測れるのは良いけれども、精度や本当に正確に測れているのか気になりますよね。

そこで、非接触型の体温計や温度計の使い方、知っておくべき情報を３回に分けて、お伝えしてゆきます。

今回は、体温を測る正しい部位などについて、お話しします。

 

 

体温は、どこで測るのが正しいの？

検温する場合、体のどの部分を測るのが正しく、どのような条件下で測るべきか等、使い方をご存じでしょうか？

特に、非接触体温計は、赤ちゃんの検温、子供の朝の登校時など、直ぐに測れて便利ですが、精度は気になっても、使い方を正しく理解している方は、少ないのではないでしょうか。

 

 

 

 

体温計の種類

体のどの部分を測るかは、体温計の種類に依存するので、まずは体温計の種類を見てみましょう。

体温計は、実測式体温計 、予測式体温計 、赤外線体温計 の大きく3種類に分類できます。赤外線体温計は、現在主流の「非接触体温計」が該当します。

 

 

 

検温とは

本来、検温は体のどの部分の体温を測るのか、正確に測るにはどのくらい時間がかかるのか理解しましょう。

検温は、脇や舌下で、体の内部と同じくらいの温度（深部体温*1）になった状態の平衡温*2を測定します。平衡温を測定するには、実測式体温計を使って、わきをとじてから10分ほどかかります。

 

*1:深部体温：　脳や臓器など体の中心の機能を守るために一定に保たれている体温のこと。しかし体の内部なので日常的には測れません。詳しくはこちら
*2:平衡温：　脇や口をとじてから、体の内部と同じくらいの温度になった状態を言います。

 

 

体温計の種類と測定部位・時間について

 

実測式体温計（水銀体温計など）

脇下や舌下の部分の体温を実際に時間をかけて測ります。脇の下の場合、脇をとじてから平衡温になるまで約10分かかります。脇以外に口中どちらもはかることができます。

 

 

予測式体温計（電子体温計など）

実測式体温計で約10分かかる測定を、独自のセンサーと予測機能により、下図のように最初の数十秒間の体温の立ち上がり方から平衡温を予測します。測定部位は、脇専用としているものがほとんどです。

 

 

 

赤外線体温計（非接触体温計）

赤外線体温計は、額表面から放射される赤外線量を測定し、舌下温度に換算して表示します。同一人物の額と舌下の温度を同時に測定する実験データなどを活用してつくった特殊なアルゴリズムにより、1、2秒で額の温度を舌下の温度に換算して表示しています。

 

タニタによると、現在のところ医療機器として国から認証を受けている非接触体温計はすべて額か、こめかみではかる設計になっているとのことです。また、なぜ首や手首でなく額ではかるのかというと、額は体温の変化を反映しやすい部位だからです。
熱があるかな？と思ったとき、おでこに手を当てますよね。また額は体形を問わず脂肪がつきにくい部位なので、測定したときの個人差も少なくなるとのことです。

つまり、非接触体温計は、額やこめかみの温度を舌下の温度に換算するよう設計されているので、額やこめかみ以外の部位での測定は正しい使い方ではないことを理解しておく必要があります。

 

 

結論

体のどの部分を測るかは

・実測式体温計、予測式体温計は、これまで通り、脇や口です。
・非接触体温計は、国の認証機関で定められ製品設計の前提になっている額やこめかみで測るべきということになります（機器の説明書に記載があります）。

 

 

次回予告

次回は、「非接触体温計」と「非接触温度計」の精度、見分け方、違いについて、お伝えします。お楽しみに！

 

 

以上